◆私でもシャラポワ

 滅多に街にも出ず、テレビもあまり見ずに隠遁生活を送っていても、マリア・シャラポワの話題は、閉ざした耳目をこじ開けて入ってくる。私にとっての「ヨン様」と同じだ。おそらくは、似たようなブームだということだろう。

 「スタイルがよくて可愛いテニス選手」としてほんの数週間前に私に認知された彼女が、何だかよくわからないが日本で行われたメジャーなテニス大会で優勝してしまったらしい。それも、決勝でダベンポートを破って、というのだから、できすぎである。
 ダベンポートといえば、私でもその名声を知っているのだ。一流テニス選手で今すぐ名前が思い浮かぶのは、他には悪童マッケンローぐらいだというのに(古いですよね)。

 新聞を読むと、当然ながら、ただ可愛いだけではないらしい(だいたい、今回優勝する前でも、世界ランキング4位じゃないか)。だがおそらく、日本でこんなにブームになっている理由は、その容姿にあるに違いない。優勝が決まる前でさえ、ダベンポートに関する情報はごく少なく、シャラポワの話題ばかりが流れ込んできたのだから。若さも原因か。17歳がやたらに強調されている。
 若さと美しさ・・・ まともな新聞?ですら、1面中央にカラー写真を載せ、「妖精の笑み」だなんて浮かれているのだ。

 いくら表向きだけきれい事を並べても、「若い綺麗な女」にこそ価値がある、とこれほど刷り込まれたのでは、それに抗うことはむずかしい。まあだいたい、ニュースキャスターやアナウンサーだって、ふつうのオッサンと美人女性のオンパレードなんだから、なにをかいわんやではあるのだが。

 でも、シャラポワに夢中のアナタ、テレビの中と違って、現実の彼女は身長が183cmあるそうです。それでもやっぱり好きですか。どうせ現実に並んで歩くことなんかないから気にしませんか?
(念のため、私自身は身長の高低にこだわりません。シャラポワならウェルカムです(笑))